GP-Chem 東北大学 統合化学国際共同大学院東北大学
統合化学国際共同大学院

【短期海外研修 2024.11.8-11.9】 アメリカ, タフツ大学:山田拓哉さん

短期海外研修としてアメリカ・マサチューセッツ州にあるTufts大学のGraham Leverick先生の研究室を訪問しました。リチウム空気電池に関する共同研究の打ち合わせに参加しました。私は学部・修士で多孔質電極を用いた電気化学的CO2還元反応の研究をしており、リチウム空気電池に使用する多孔質電極と深い関連があるためこの研究チームに参加することになりました。
Leverick研を訪れた時、ちょうどお昼時だったため、一緒にレストランでランチを頂きました。その場で自己紹介や自分の研究テーマについて説明しました。まだまだ拙い英語での説明でしたが、Leverick先生には興味を持って聞いて頂けたようでした。また、当時は大統領選挙直後だったため、選挙の話題となりました。「マサチューセッツ州では民主党が圧勝だったのにどうして…」と訝しそうな表情でお話していました。
さて、研究室に戻ってからは共同研究のテーマである空気電池について議論しました。空気電池が抱える課題は出力と容量を増加させることです。この課題を解決するための戦略についてLeverick先生の見解を伺い、私たちからはその戦略に有効だと考えられる材料合成技術についてお話ししました。Leverick研ではリチウム-酸素、リチウム-硫黄、マグネシウムなどの電池の電極・電解質に用いられる材料の物性を解析する基礎科学的な研究を行っています。彼らの材料物性解析技術と私たちの多孔質材料合成を組み合わせることで、新奇な空気電池材料を設計できると期待しています。

 

写真1. Leverick研究室の実験室。様々な機器が設置されていますが、道具やケーブルなど隅々まで整理されていました。長期海外研修などで再び訪れることがあれば右の写真のラマン分光装置を是非使ってみたいですね。

 

議論の後に研究室を見学させていただきました。訪問時は金曜の午後だったため学生は殆どいませんでした。毎週のタスクが終わったら早めに帰宅してプライベートの時間を楽しむ学生が殆どだそうです。私たちも計画的にタスクをこなして週末に無理をしない生活をする方が良いのが当たり前だと改めて実感しました…。実験室には当然のことながら普段見ない装置が多数ありました。発足したての若い研究室であるためあまり広くない部屋に多数の機器が設置されていましたが、部屋の中に道具が散乱することなく完璧に整理されていました。恥ずかしながら現在私が使用している実験室とは雲泥の差でした。どのようにしてこの状態を保っているのかLeverick先生に尋ねたところ、「机の上は物置ではない。どんなに頻繁に使う道具でも必ず棚や保管庫にしまうようにしている。」とのことでした。私の研究室でもこの心構えを徹底しようと思いました。

 

写真2. Fenway Parkの外観。約300人のランナーがいました。

 

帰国当日、少し時間に余裕があったためボストン市街を観光しました。私と今回同伴していただいた岩瀬先生が野球部だったこともあり、メジャーリーグの名門レッドソックスの本拠地であるFenway Parkへ行きました。当日は球場全体を駆け巡るマラソン大会が開催されていたため、残念ながら中へは入れませんでした。もし再びボストンを訪れる機会があったら試合観戦もしたいところですね。

 

写真3. Leverick先生との記念写真。

 

以上が今回の研修の概要となります。海外の研究者と意見交換できた貴重な経験でしたが、身振り手振りに頼りきりで自身の英語の能力はまだまだ貧弱であると思いました。学術的な知識以外にも海外の研究室の文化的な学びも様々ありました。後に控えている長期の海外研修ではより多くの成果を持ち帰られるように、それまでの時間を自身の成長のために活用したいと思います。

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