【短期研修:2023.7.2-7.6】 アメリカ,ニューヨーク:吉田朱里さん
アメリカのニューヨーク州,ロングアイランドにあるStony Brook University の古賀先生,遠藤先生のもとを三日間の短期研修にて訪れました.先生方と私の研究室は現在共同研究を行っており,今年から私もその研究に携わり始めました.古賀先生と遠藤先生の研究室は,私たちの研究室の材料合成とは異なり,それらを基に様々な測定を通じて材料の特性評価を行っています.Stony Brook Universityから車で30分ほどのところにNSLS-Ⅱという放射光施設が存在し,通常この研究室はそこで多岐にわたる測定を行っております.
研修中,私たちはディスカッションやセミナーを行う傍ら,大学内とその放射光施設を案内していただきました.大学内は広大で,自然にあふれていました.シカやウサギ,グース,そしてリスといった野生動物も敷地内に多く生息し,その生活は魅力的でした.そして敷地内の至る所に芸術作品や巨大な噴水があり,さらには芸術鑑賞のための専門の建物があるほど,芸術に力を入れているようにも感じられました.このような素晴らしい環境下の学生の感性は豊かだと思います.また,留学生が多いため,アジアのカルチャーセンターもあり,アジアの留学生らの憩いの場も備わっておりました.
Fig. 1 Stony Brook 大学にて(一緒に訪問した同期生と)
NSLS-Ⅱへはパブリックツアーとセミナー開催の2回訪れました.施設の敷地は大学同様に非常に広大で,車でないと移動できないほどでした.余談ですが,パブリックツアー時の移動は黄色いスクールバスで,日本では出来ない変わった体験でした.NSLS-Ⅱは2015年から稼働しており,現在では29のビームラインが稼働していますが,最大60本まで対応可能であるため,ビームラインが次々と増えています.パブリックツアーでは建設中のラインも見学できました.セミナーでは施設の研究員の人々の前で,自身の研究の発表とディスカッションをする機会があり,その後にビームラインの詳細な見学もしました.私自身の研究でも放射光は度々利用していますが,NSLS-Ⅱの見学したビームラインでは,特にエンドステーションの規模の大きさに驚かされました.
またこの研修では,現地の学生や研究員らとの研究以外の交流時間も取ることが出来ました.一日目の夜は放射光施設の研究員や先生のご子息とバーベキューを行いました.食べ物のアメリカならではのサイズ感に感動しただけでなく,先生のご子息のキャリアにも驚きました.一人一人が日本のような固定観念の進路にとらわれず,世界中での活動をあたりまえのように考えていました.私も彼ら・彼女らのように自身の活動範囲を広げるべきだと感じました.
Fig. 2 NSLS-Ⅱでのセミナーの様子
二日目は夕方から大学近くのビーチにて研究室のメンバーらとサッカーやバレーボールを行いました.遊びの中でのとっさの英語はまだまだ苦手でしたが,非常に貴重な経験でした.また,海はとても穏やかで,水平線に沈む夕日がとても美しかったです.やや遠浅な海は,中洲のようなところまで歩いていくことができ,道中,巨大なカブトガニにも遭遇することもできました.この海岸ではよくカブトガニを見かけるそうですが,日本では野生の個体を見ることは難しいため,個人的にうれしかったです.学生たちはよくこのビーチに遊びに来るようでした.自由にのびのびと学生生活を送るのに,とても良い環境だと感じました.
Fig. 3 大学近くの海辺
今回の研修では,同世代から施設のベテラン研究者を含む,多くの研究者とディスカッションする機会に恵まれました.その中で自身の研究でまだまだ足りないところを感じつつ,英語でのコミュニケーション力の未熟さを痛感しました.これらの反省点を次の博士後期課程での半年間の留学に活かしたいと思います.一方で,アメリカの大学の自由さと規模の大きさは非常に魅力的に感じられました.現状はまだ長期留学に不安感じる部分もありますが,それよりも大きな前向きなモチベーションを得られたと思います.本当に素晴らしい経験をさせていただきました.
Fig. 4 NSLS-Ⅱの帰りに立ち寄った Port Jefferson